【連載 Vol.7 番外編】|多くのIターン者と出会ってきた中勝集落の中田区長にお話を伺いました。

移住エピソードや町の魅力についてインタビューしました。
森(左)中田区長(中央)間弓(右)

プロフィール

移住者

中田留弘さん/中勝集落在住

「あまみダイビングセンターとめ」代表。

中勝集落区長として安心・安全で住みやすい集落を目指している。

インタビュアー

間弓 祐次郎/安木屋場集落在住

茨城県出身。以前は東京にて不動産賃貸業、店舗責任者に従事。地域おこし協力隊。

主に空き家バンク、移住者支援業務担当。

インタビュアー

森 まゆみ/円集落在住

福岡県出身。以前は接客業をメインに働く。スノーボード歴20年。現在、地域おこし協力隊。

主に空き家バンク、移住者支援業務担当。

中勝集落の昔と今

間弓

中勝は約250世帯、490人がくらしているとても大きな集落ですね。

中田

中勝集落は、本茶トンネルが開通する前は陸の孤島で、限界集落になりかけていたけど、トンネルが通ってからはビッグⅡや自動車関連、建設業などの企業や、民間のアパートや新築の住宅が増えた。Iターン者よりも名瀬市街のベットタウンとして、本島内からの移住者が増えていると思うね。

トンネル開通前の昭和55年と今の人口を比べると、約2倍に人口が増えていると聞きました。集落出身者以外の人口が増えた事で感じる事はありますか?

中田

自分より上の世代はシマ出身者が多いが、下の世代はシマ育ちの人が少なくなったと感じるね。Iターン者、タジマ(他の集落)とか区別はしてはいないよ。  島の生活スタイルに合わずに帰っていくIターン者もいっぱい見てきたけど、移住して集落のために活動してくれている人も沢山いる。

自然豊かでシマ文化が残る町

間弓

中田さん自身も一度、都会に出てから龍郷町に戻られたとお聞きしましたが、都会との違いをどうお考えですか?

中田

生活する為だけなら都会の方が楽。奄美に来て自然と触れ合い仕事をするだけなら名瀬市街でもいいと思う。でも都会から来る人はコンクリートの中での生活は嫌だと言う人が多いよね。龍郷町は自然豊かな場所でシマ文化が色濃く残る所である反面、台風被害や虫の多さ、人と人との距離が近く付き合いが多くなる。どの土地でも良い所も悪い所もあると思うよ。

都会から移住される方に何かアドバイスはありますか?

中田

良いイメージだけで移住することはオススメしない。本当に奄美に住みたいならベストシーズンの短期間だけの旅行だけでなく、何度か通い台風や冬の厳しい環境も体験する事をオススメしたい。そして龍郷町の中でも各集落によって特色が違うので、色々な集落も知るべきだと思う。集落の事なら各集落の区長に聞くことが一番。住んでからはなおさら、集落の事を知って行事には出来るだけ参加してもらいたい。中には自分の住んでいる集落の区長さんを知らない人がいる。がっかりしちゃうよね(笑)

間弓

中勝集落の特色は?

中田

人口が増えているのは住みやすい環境だからだと思うよ。名瀬への交通の利便性もいいし、買い物するのも困らないし。また他の集落にない行事では豊年祭の際に行われる『ホウヤヅナ』。これは独特の文化だろうね。集落入口の上・下(ウー・シャ)に綱を張り、一年間悪霊が入らないようにする。それでも集落の中に入ってしまった悪霊を退治するために、集落内や八月踊りの輪の中を綱を持ってみんなで歩いて回り、悪いものを縄で縛る。その後、縄を七つに切って中勝川に流すという祭りが続いている。見学の際には祭りの意味を知ったうえで見て貰えたら嬉しいね。

ホウヤヅナはスモーヤ(楽屋)から「ホーヤ、ホーヤ」と掛け声をかけて、集落の西口から東口へと集落のなかを引き回して歩く。
土盛海岸にある「あまみダイビングサービスとめ」