
丸田ひとみさん(旧姓:竹内)
移住年:2023年
職業:地域おこし協力隊
他人だけど他人じゃない。
自分も誰かに優しくなれるんです。

奄美大島に魅せられた大学時代
丸田ひとみさん(27歳)は生まれも育ちも埼玉県。2017年に、大学の地域実習のため奄美大島に初めて訪れた。縁もゆかりもない奄美大島だが、独特な文化と人々の温かさに魅了され、毎年のように通うようになった。
「若い人が少なくて目立つせいでもありますが、島の方々がとてもフレンドリーで「どこから来たの?」と声をかけてくれるんです」と語る丸田さん。お喋りの後には「これを持っていきなさい」とお菓子や果物、栄養ドリンクなどをもらうことも。
何度も通ううちに「舟漕ぎ」や「種下ろし」などの集落行事にも参加するようになり、「ただいま」と言える拠り所が増えていった。車ですれ違ったときには「ヨッ!」と手を挙げて合図を送ってくれたり、いつのまにか名前も「ひとみ!」と呼び捨てで呼ばれるように。
都会では珍しい、人同士の繋がりに「他人だけど他人じゃない、この距離感が心地よい」と感じた。飛行機での移動に2時間半かかる場所であるのにもかかわらず、奄美大島との心の距離はどんどん縮まっていった。

新卒で地域おこし協力隊に着任
やがて就職活動の時期を迎え、進路に悩んだ末に思い浮かんだのは奄美大島への移住だった。「大好きな奄美大島のことをもっと知りたい。現場に出て、島のためになる仕事をしたい。」という想いで、地域おこし協力隊に着任した。丸田さんに与えられた任務は「空き家対策・移住促進・関係人口の創出」の3つだった。
「はじめのうちは知らないことばかりで、まずは知ることから始めようと思いました。」最初の1年目は、仕事も集落活動も、とにかくチャンスがあれば積極的に手を上げる姿勢を大切にしていた。
2年目からは徐々にできることが増え、集落の運営体制や集落費などの情報を紹介する「シマ暮らしお助け帳」の作成や、中学生と一緒に空き家の活用に取り組む「中高生空き家活用プロジェクト」を立ち上げた。
町の出身者が集う郷友会で空き家の啓発スピーチをした際には、「いつも広報誌を見ているよ。遠くから応援しているよ。」といった声掛けに励まされる一方で、自分の仕事が沢山の方に影響を与えていることにプレッシャーを感じることもあったそうだ。
様々なことに挑戦し、2026年の春、ついに地域おこし協力隊の3年間の任期を無事に終えた。「どの活動も地域の方々の応援や協力がなければできませんでした。私のような新社会人として移住してきた若者に成長の場を与えてくれて、とても感謝しています。」と丸田さんは振り返る。
今後は龍郷町の移住定住カウンセラーとして、引き続き、空き家対策や移住促進に貢献していきたいとのことだ。

調べて分かったことを地図にまとめた。
島ならではの行事に熱中
「せっかく移住したのだから」と円集落にどっぷり浸かり、島ならではの行事を楽しんだ。
数多くある行事の中でも衝撃的だったのは、10月下旬から11月上旬にかけて行われる地域行事「種下ろし」だ。チヂンという太鼓の音と共に、男女が分かれて輪になり唄い踊る「八月踊り」。
唄も踊りも分からないので輪の外から見学していると、「輪に入りなさい」と手招きをされ、戸惑いながらも見よう見真似で踊ってみる。チヂンの音、唄声、囃子、ハト(指笛)が飛び交い、子どもから年配の方まで一人一人がイキイキとしていた。とにかく沢山の人と同じ時間を楽しめていることが嬉しかった。
移住して2年目には集落の方々に指導を仰ぎ、八月踊りの唄や六調にも挑戦した。「行事を楽しんでいるだけなのに、集落の方々が「はげ~、ひとみちゃん、感心!」と褒めてくれるんです。自己肯定感が上がりますね(笑)」と笑顔で語っていた。

唄い方や囃子をみっちり教えて下さった。
新たなライフステージへ
丸田さんは、2025年に安木屋場集落出身の舞比桜さん(26歳)と結婚。3年間お世話になった円集落から、安木屋場集落へと住まいを移した。
龍郷町には20集落あり、それぞれにルールやしきたりがあり運営体制が異なる。「円と安木屋場はお隣の集落ですが、全然違います。個性も様々でそこが面白いんです。」と目を輝かせた。
「集落の方々が受け継いできた伝統文化や集落の景色を、私も大切に守っていきたいです。移住してきたばかりの時の気持ちを思い出して、まずは集落について一から知ることですね。安木屋場の八月踊りも早く唄えるようになりたいです。」と新たなシマライフの抱負を語っていた。

丸田夫婦の新たなシマライフが始まる。
地域おこし協力隊を考えている人へ
ワンポイントアドバイス
地域おこし協力隊は、知らない土地に住んで働くだけでなく、3年間という短い期間で一定の成果を求められます。不安やプレッシャーを抱くのは当たり前だと思います。
協力隊の活動には地域の方々の理解と協力が必要不可欠です。自分のやり方を押し通すのではなく地域の声を聞き、頼るべきところは頼り、きちんとお返しをすることで信頼関係を築いていく…人間力が磨かれる仕事だなと思います。
イチオシの行事紹介

7月下旬に開催される「龍郷ふるさと祭」。奄美大島で一番最初に開催されるお祭りです。舟漕ぎ競争大会や、ステージ演目、八月踊り、花火など一日中お祭り騒ぎです。
舟漕ぎ競争大会では、職場や集落の有志チームによって熱いバトルが繰り広げられます。
